キッチンカーで会計は多くが現金決済でレシートは渡されませんが、これって本当に大丈夫なんでしょうか?レジを導入するならどういったレジにしたらよいのか、電子決済はどうしたらよいのかを考察していきます。
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キッチンカーでの会計の現状
私が予定している軽トラタイプのキッチンカーでは通常一人、多くても二人でのオペレーションになることがほとんどだと思います。少ない人数での営業においては、商品の提供時間の速さはもちろんのこと、会計の手早さも同様に要求されることが多いです。
例えばたこ焼き一皿500円とか、基本価格300円にトッピングどれでも一つ50円プラスといった合計価格の計算が早い商材の場合、いちいちレジ打ちをしてレシートを発行する時間すらもったいないし、そもそもレジスターを狭いキッチンカー内に置くスペースがなかったりして、結局手提げ金庫と電卓で会計してしまう場合がほとんどでしょう。
感染防止の観点もあり、電子マネーでの決済を導入しているキッチンカーもそこそこ見かけますし、今後ますます増えては行くんでしょうが、聞くところによると会計処理の三割程度というのが現状みたいです。
レシートは発行しなきゃダメですか?
以前固定店舗を営んでいた自分からすると、会計の際にレシートを渡すのは当たり前な考えがあって、アルバイトにも「レシートが必要か必要でないかを決めるのはお客様であって、店側としては原則渡すようにすること」としていました。
自分も先達からそう言われて慣行していただけで、なぜ渡すのか?について詳しい理由は知りませんでした。自分がキッチンカーをやりたいと考えるようになっても、これまで通りレシートを発行するレジ会計をするもんだと、そう思っていました。
いろいろと情報を集めていく中で、実際にレシートを発行しているキッチンカーは少数派で、何なら固定店舗でも手提げ金庫会計をいまだにしているところがそれなりにあると知りびっくりしました。
一応調べてみたところ、法律では領収書がその対象であり、レシートについての明記はないみたいです。まあ、近年は領収書としても利用ができますといった体のレシートも多く発行されていますし、レシート続きで領収書と一枚で出てくるものもありますから、領収書とレシートの区別が大分なくなってきてるので、そこまで明確に区分する必要はないとも言えますが。
話を戻しますと、領収書の発行については基本的には義務ではありません。ただし、お客様が領収書を求める場合は必ず発行しなくてはなりません。これは民法486条「弁済(代金の支払い)したものは、弁済を受領した者に対して受取証書の発行を請求できる」とあるものです。
注意しなければならないのは、判例によって同時履行の原則があるために、領収書の発行は金銭の受け渡しと同時出なくてはならず、代金の支払いの際に受け取り側(店)が領収書の発行をしない場合、代金の支払いを拒否しても良いとされていることです。
まあ、商品の受け渡しと代金の支払いが同時のキッチンカーではあまり関係ないとは思いますが、念のため手書きの領収書を用意しておくぐらいはしておいたほうが良いんではないかと。
レジのメリット
レシートの発行に義務はなく、領収書だって手書きの一冊があれば事足りる、それでもなおレジは必要なのか?
キッチンカーといえども事業には変わりなく、帳簿はつけなくてはなりません。メモに販売戸数を正を書いての記録でもできなくはないですが、品目が複数になればそれだけで管理は難しくなります。となると確実にチェックができるレジは打ち込む手間の分を補って余りあるだけの価値があるのかもしれません。
私のようにもともとレジスターを持っているのであればそれを使えばいいのでしょうが(場所は取りますが)、新たにレジスターを購入となるとそれなりの費用も掛かってしまうので導入を見送る理由になってしまいます。そこで、レジに対する初期費用を抑えつつ、でもレジを導入したいとなると検討すべきはエアレジでしょう。
おなじみのリクルート社が提供している無料POSアプリで、普通に会計をするだけで売り上げ集計から分析までできますし、提携している、例えば会計ソフトと連動すれば帳簿記入の手間も軽減できるみたいです。一部キャッシュレス決済とも連携しているのも利点の一つでしょう(決済手数料は発生します)。
惜しむらくはiPadかiPhoneでしか利用できないこと(Androidのスマホやタブレットは使えません)。iPadかiPhoneを持っていないと購入費用が発生すること。また、レシート発行機能やキャッシュドロアを求めると周辺機器も購入する必要も出てきますので、結局初期費用が必要になってしまう点がデメリット。ただし、iPadやiPhoneを持っていて、レシートの発行の必要性を感じていないのであれば、無料で売り上げ管理ができるという意味でメリットが上回るのかもしれません。
キャッシュレス決済はどれを選べばいいの?
キャッシュレス決済と一言で言っても、昔ながらのクレジットカードに電子マネー、QRコード決済などいろいろあります。一時の乱立状態からは抜け出したとはいえ、大手決済業者も撤退するなどしましたし、どれを選んでよいのか悩むところではあります。
固定店舗時代にいくつかの電子マネー決済を導入していたのですが、私の住んでいる地域だとイオンが強いので、WAONカードの利用が多かった記憶があります。逆に鉄道系列のsuicaやmanacaなんかは10年やってて1度か2度あったかな?ぐらいの利用頻度でした。
ほとんど利用しない決済業者との契約は無駄に等しいとはいえ、念のためと考えるのであれば、個別に契約するのではなく、複数の決済業者をまとめて管理してくれる決済サービスなら負担は少ないかと思います。前述のエアレジの追加サービス(要審査)であるエアペイならクレジットカードから電子マネー、QRコード決済まで一通りの有名どころ決済が出来、かつTポイントやWAONポイントなどをつけることも出来るサービスもあるので一考の余地はあるかと。
そこまで必要はない、でも一つぐらいは導入したいと考えるのであれば、選ぶならPayPay一択でしょう。QRコード決済で特別な機器(リーダー)も必要もなく、現金を持ち歩かずにキャッシュレス決済だけで買い物をしようとする層ならほぼほぼ必ず利用しているサービスだからです。
まとめ
キッチンカー含む飲食業界といえば生き残り競争が激しい、3年後にお店を続けられるのが3割に満たないといわれる厳しい業界です。ましてやキッチンカーは固定店舗よりはるかに開業がし易く、逆に言えば素人でも簡単に開業出来てしまうが故に経営観念に乏しく、廃業までの期間がさらに短いとも。
業界的にはまだまだキッチンカーは増えていくと考えられているみたいですが、現実的にはコロナ下で出店できるイベントはまだまだ制限されていますし、売り上げが立てやすい商材(たこ焼き・クレープ・フライドポテトなど)は特に競合キッチンカーが多く、すでに飽和状態。他にはないメニューや複数のメニューを提供していこうとなると売り上げ管理に加え売り上げ分析もしていかなければ無駄な在庫(仕込み)でロスばかり出てしまう何て事になりかねません。どんぶり勘定・感覚感情もいけない訳ではありませんが、長く続けていくにはデータは必ず必要になってきます。
レシート発行の必要がないからレジは要らない!ではなく、管理・分析という点からツールの一つとして導入する意味があると私は考えました。また、営業が終わって翌日の仕込みをし、さらに帳簿付けをするとして、その帳簿付けの手間が少しでも楽になるとなればさらにメリットになるのではないかと。
初期費用をあまりかけずにキャッシュレス決済も導入したいとなればAirレジ(+Airペイ)が一番現実的。レシート発行はお客様にとってもまだそこまで重視ポイントではないので必ずしも必要ではないが、法律的にも手書きの領収書ぐらいは常備しておきましょう。