キッチンカー開業

キッチンカーを始める決意をした時に最初に決めるべきこと!

どうも、管理人のいたくらです。何でもそうですが、何か始めようとしていろいろ考えている時間が一番楽しいですよね。

目次

開業を決意したら最初に決めるべきこと

結論を言っちゃいますと、それはキッチンカーに搭載する給排水能力です。

給排水能力というのは、簡単にいえば”どれだけの水を積めるタンク”と”同じ量の排水を保管しておけるタンク”をキッチンカーに搭載するかという事です。

一般的にキッチンカーのタイプとして軽トラタイプ、1トントラックタイプ、1.5トン以上のトラックタイプ、ワーゲンバスなどの特殊系に分類されるんじゃないでしょうか。1トントラックタイプ1.5トン以上のトラックタイプはそもそも架台スペースに余裕があるので、今後新しく作られるキッチンカーであればそもそも200Lの給排水設備が標準になるでしょうからそれほど問題はないと考えられます。ただし、軽トラタイプや特殊系の中でもワーゲンバスのようなミニバンタイプだととても大きな問題となってくるんです。

2021年6月の食品衛生法改正施行で大きく変わったものの一つがこの給排水のタンクの基準です。各保健所の独自判断で搭載量の基準が違いましたが、これが全国統一基準として40L,80L,200Lの3カテゴリーに分けられました。

これはキッチンカーに必要なリッター量という訳ではなく、キッチンカーであっても普通の固定店舗の厨房と同じ衛生基準を満たす必要が求められることになった為に出来た数字。普通の固定店舗なら蛇口を捻ればいくらでも水が使えるし、いくらでも排水に水を流すことが出来ますが、キッチンカーではそれが出来ません。だから予め「これだけの給排水能力があればこれだけの調理工程をしてもいいですよ」という逆算的な部分から出されたリッター量な訳です。

とはいえ、この基準は車の大きさに関わらず適用されてしまいますので、軽トラであっても販売する商材によっては200Lが必要となる場合があり、それだけのタンクを設置するスペースが必要となるわけで。逆にそのスペースが取れないのであれば販売する商材が限定的に成らざるを得なくなるってことです。

容量の違いで出来る事

実際のリッター量によって出来る調理の区別を見てみましょう。

40L・・・単一商品の加熱・盛り付け

80L・・・複数商品の加熱・盛り付け

200L・・・複数商品の仕込み・加熱・盛り付け

まだちょっと分かりにくいですよね。もうちょっと具体的な例を挙げてみます。

40L・・・たこ焼きのみ、ホットドックのみ、唐揚げのみ

つまり40Lでは一台のキッチンカーでたこ焼きとお好み焼きを一緒に販売することはできないという事です。ただしここでいう販売は、あくまでキッチンカーで調理し販売するという意味で、市販のペットボトルのお茶を未開封で販売することは調理ではないのでOKで、コップに注いで販売するのは調理(盛り付け)として単一商品に分類されるので一緒に販売するのはアウトとなります。

もう一つ加えるならば、唐揚げにおける醤油味と塩味といったフレーバーの違いであれば単一商品として認められますが、チョコバナナクレープとツナマヨクレープでは認められません。これは菓子カテゴリのチョコバナナクレープと食事(惣菜)カテゴリのツナマヨクレープでは法律上の分類が違う為です。

80L・・・40Lでは出来なかった複数販売が出来る。理論上はいくつでも

40Lで出来なかった複数の商品を扱うことが出来ます。ただしここにも制限はあります。一つの商品を作るときにその調理工程として”仕込み”→”加熱”→”盛り付け”と法律上の分類がされていて、どこまでを”仕込み”と判断し、どこからを”加熱”とするのかの線引きで次の200Lとの違いが出てきます。

ただしこの線引きの部分に関してはまだ各保健所の判断にばらつきがあるみたいなのではっきりと断言が出来ないのが申し訳ないのですが、40L80Lの加熱は、あくまで簡単な加熱という事みたいで、ホットドック用のソーセージを焼くとか、ちょっと加熱工程が複雑になるたこ焼き(途中で具を追加するみたいな)なんかは加熱工程が一連のものであるから大丈夫みたいなんですが、これがカレーを温めて、且つ足りなくなったライスをその場で炊くとなるとアウトの可能性が出てきます。

200L・・・調理工程のすべてがキッチンカー内で行える

固定店舗と全く同じことが出来る。なので仕込みから仕上げまですべての調理工程が行えますし、もちろん複数の商材を扱って問題なし。さらに言えばキッチンカーであっても普通のお皿やグラスで提供し、回収し洗浄したのち再度提供に使用できるみたいです。まあそこまでするキッチンカーはごく少数でしょうけど。

仕込み場所の必要性

今回の改正以前であっても、仕込みの場所というのは必要でした。もともと飲食店をやられている方々であればその厨房が仕込み場所となるので何ら問題はないのですが、かといって一般家庭の台所が仕込み場所として認められるか?と言えばそれは完全にアウト。たとえスペックは家庭用であったとしても、家庭の台所とは別の調理スペースを用意し、保健所の許可を得た上でそこで仕込みをする必要がありました。

これまでの基準では、食品を製造(仕込み)するのに十分な衛生環境であれば給排水の量はそこまで重要視されていなかったみたいで、なので特別に仕込み場所が無くても、販売中は仕込みは一切しないという前提で、キッチンカーを仕込み場所として許可を得ることが出来ていました。業界の闇として、そうは言っても自分の家の台所で普通に仕込みとかしてる人も多いみたいですけど(笑)。

改正によりキッチンカーにもHACCPが義務付けられることになり、その衛生管理基準の一つとして40Lだの80Lだの200Lだのという数字が出てきて、それとともに仕込みをするのにも200Lの給排水設備が必要であるとなったわけです。

つまり、家の台所とは別の専用の仕込みが出来る場所を用意するか、もしくは仕込みも出来る200Lの給排水設備が搭載されているキッチンカーのどちらかが準備出来ないと営業許可そのものが下りなくなったと。もちろんどこかの飲食店の厨房を借りるとか、レンタルキッチンを利用するなどすれば自前で用意する必要はなくなるのですが、それはそれで許可申請や更新時にそういう設備を利用してる証拠(予約票とか領収書とか)を提示しなくてはならなくなる可能性も否定できません。

これは申請時更新時だけに適用されることではないみたいです。

先日聞いた話なんですが、キッチンカーの出店場所を斡旋する仲介業者さんの多くは斡旋する際にキッチンカーが汚かったり、明らかに営業許可基準を逸脱した商材を販売してるようなキッチンカーは除外しているそうです。という事は、仕込み場所の確認の書類の提示も求められるようになるでしょうし、紹介業者が独自にレンタルキッチンに本当に借りているか抜き打ちでチェックするようになるかもしれません。そうすればせっかくキッチンカーを作っても出店場所がどこにもないなんてことになっちゃうかもしれません。

製造業者選びは慎重に

キッチンカー製作を謳っている業者さんの中には、キッチンカーを作る技術には長けていても、食品衛生法に詳しくない業者さんもいらっしゃるそうです。いざキッチンカーが出来上がってから営業許可が下りず、給排水タンクを取り換えたりするのに掛かる費用はもちろん別途自腹です。それでトラブルになって別の業者さんに依頼しても、結局全部取り外し、一から作り直しになることがほとんどで、そうすれば数百万円の追加出費がかかってしまったケースもあったそうです。

軽トラの積載限度は350kg。BOX筐体、シンク、冷蔵庫、200Lタンク(水を入れた状態)だけで350kgを超えるそうで、車検料や税金が安いからと白ナンバーに構造変更せずに軽ナンバーのままで運転しているとそれだけで道路交通法違反になるし、何か事故があっても保険金が下りないことも多いそうです(ただでさえ普通の車に比べて大きいからぶつけたり引っ掛けたりし易いみたい)。それを知らない業者は論外だけど、知っていて依頼主に説明しない、安易に大丈夫と法令違反を許容する業者も問題だらけです。いくら税金や車検料が安いからと言っても、車検を通す際にはBOXの中身どころかBOX筐体そのものを取り外さないと通りません(ナンバー取得時の車の構造と違うものはすべて違法)から、車検ごとにそれを取り外すのに数十万円の費用を要求されれば、どちらがお得かなんて簡単に分かりますよね。

結論

長くキッチンカーを続けるつもりだったら、ちゃんとした仕込み場所を用意するか、200Lの給排水設備を載せたキッチンカーで始める事。

ABOUT ME
いたくら
以前、車の街愛知県豊田市で焼き菓子とカフェの店を経営してました。現在キッチンカーの開業を目指して迷走中。開業までの道程を疑問や苦労話とともに綴ってます。