管理人のいたくらです。よく「そんな法律知らなかった」と不祥事を起こした政治家が発言してますけど、法律を作る側の人間がそれを言っちゃあ駄目な気がするのは私だけでしょうか?
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道路交通法違反
普段車を運転していて、例えば速度オーバーや信号無視、飲酒運転などは違反だっていうのは誰でも知っている事実だと思います。忘れやすいところだと歩行者がいるのに横断歩道で一時停止しないとか、ブレーキランプが切れているとかの整備不良とか。でもここら辺は自動車教習所でも教わったし、そうじゃなくても違反だ!って言われれば理解できるんじゃないでしょうか。
暴走族が乗るような改造バイクや改造車なら違法だってのは感覚として分かりますが、実は違反の素って結構そこら中に転がっています。このブログはあくまでキッチンカーに係わるブログなので、違法項目を網羅することはしません。ことキッチンカーで実は道交法違反になっているかもしれない、違法改造と、過積載について考察していきたいと思います。
違法改造車となるのは?
何をもって違法改造なのかという定義についてはいろいろ考え方があるかもしれませんが、私の考えでは”車検に通らない”かつ”車検証と構造が違う状態で走行している”じゃないかと。
そもそも構造とは何ぞや?なんですが、キッチンカーって基本的にはトラックの架台に厨房となるBOXを載せたもので、このBOX部分がただ単に架台に乗せてある・置いてあるだけなら荷物(貨物)の扱いになりますが、これを架台に溶接とかビス止めで固定すると構造として見られます。正確には工具を使わないと取り外しが出来ない取り付け方で、例え長さ5㎜のネジでもドライバーを使って留めたら固定となり、ひもやロープ、蝶ビスのように素手だけで取り外せるなら該当しません。逆に言えば、キッチンカーとか関係なく、車体にネジ一本ドライバーで取り付けただけで理論上は構造変更要件に引っかかるという事らしいです。
普通で考えれば、総重量(BOXそのものに中の厨房設備に材料などすべての)200kgとか300kgとかになる荷物を何の固定もせず(紐やロープで縛るぐらいで)運転なんてするはずがないですよね。という事は、固定してある=構造が変更されている=構造変更の届出をしなくてはならなくなるわけです。
すなわち、構造変更していないキッチンカー=違法改造車となり、車検に通らないと。
じゃあ、車検時だけBOXを降ろして通せばいいじゃないかと、実際にそれを勧める業者さんもいらっしゃるみたいですが、一説によるとBOXを下ろすのに10万~20万円の費用が掛かり、加えてBOX内部のシンクや冷蔵庫なども下ろすならさらなる追加費用が必要となるみたいです。製造業者さんによっては「ウチは無料でやってるよ」というところもあるかもしれませんが、そんな業者さんが依頼者の家から近ければいいですが、私が例えば東京の業者さんに作ってもらったとして、毎回東京までBOX降ろししに行くって相当負担ですよ?
かといって違うキッチンカー製作会社に持ち込んで無料で降ろしてくれるか?というと、おそらく有料になるでしょうし、”何かあっても責任は取りません”が間違いなく条件に加わるでしょう。
車検って平均すると2年で更新ですよね。例えばこのBOX降ろしに20万円掛かるとして、年平均10万円ってことですよ。軽ナンバーの方が税金とかが安いって言ったって、白ナンバーと比べて10万円以上も安いかってなるとそんなことは有りません。
BOXを固定してある場合も結果的には一緒です。おそらくBOXを固定した状態で車検を通すなら構造変更の申請は不可欠なので、構造変更がなされていないキッチンカーで、BOXを固定した状態で車検に通してそのまま許可されるってことはまずありえません。
これは車検時にのみ起こりうる話ではなくて、普通に走行中でも取り締まり対象になる話です。つまりは暴走族の改造バイクと同じ違法改造車だという事になります。
過積載について
配達用のハイエースとかトラックの車体後ろに、最大重量〇〇kgとかって書いてありますが、これを超える重量の荷物を載せると過積載として取り締まり対象になります。通常軽トラだと道交法で350kgまでと定められていて、過積載の割合に応じて違反点数や罰則が変わり、50%未満で違反点数2点の3万円の罰金。50%以上100%未満だと違反点数3点の4万円以下の罰金。100%以上だと違反点数6点(免停)の、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。この重量に運転手や車両本体は含まれませんが、構造変更されていない車のBOX部は当然車両本体に含まれない為、積載量に含まれることになります。軽トラタイプのキッチンカーの場合、BOXと水200Lを積めばそれだけでほぼ350kgに達し、そうすると荷物どころか材料すら載せたら過積載でアウトとなってしまいます。
国土交通省は2017年にトラックの過積載の取り締まり強化を掲げ、実際に検挙数も増えているそうです。キッチンカーはぱっと見で過積載が分かりにくい(改正前基準だと給排水量によっては350kgに収まる場合もあった)からなのか、あまり過積載での検挙例は報告されてきませんでしたが、今後は対象になりうるキッチンカーが増える為、警察も虎視眈々と狙っているかもしれません。
水なんか200Lも使わないからオーバーなんかしないよ!と考えるのは早計かもしれません。確かに私が固定店舗をやっていた時でも1日で100L使わない日も度々。ましてやキッチンカーなら商材にもよりますが、10Lすら使わないという話も聞きます。でも、これまで繰り返してきた給排水200Lというのが、タンクだけ200L容量があれば中に水を入れなくてもOKという意味ではなく、200Lの水を実際に積んで初めて、仕込み場所としても使用可能となり、複数品目の調理が可能となるって意味なんだと思うわけです。
過積載で検挙されると、それを指示(許可)していたであろう事業者(所属する運送会社)に、過積載を依頼した依頼主に事業停止命令が出される場合もあるそうです。という事は、例えその場で200Lの水を積んでなくて過積載に関しては大丈夫だったとしても、その流れでじゃあこれって販売品目からして水200L積んでないから食品衛生法違反だよね?ってなってもおかしくないという事です。
とまでいかないにしても、冷蔵庫に発電機、プロパンガスにフライヤーなど、350kgなんてすぐオーバーしてしまうので、やはり安心はできません。
高さ制限にもご注意!
実は高さに関しても制限があります。軽トラだと地面から2.5mを超える高さに荷物を載せたりBOXがそれより高くなると法律違反となります。大体軽トラの架台の高さが70㎝ぐらいで、先日試乗させてもらったフードトラックカンパニー様のキッチンカーがBOX内寸法で180㎝(身長171㎝の私で、照明に頭を引っ掛けないか気になる程度の高さ)を加えるとこれでジャスト250㎝となり、これより大きいBOXとなればそれだけでアウトに。
違反点数1点ですが、道路法違反として100万円以下の罰金が科せられてしまいます。一応制限外積載許可というものを申請することで2.5m以上の高さで合っても大丈夫となるそうですが、これはあくまで出発地から目的地までの一運行(片道のみ)に限って許可されるもので、一応同一車両で同一運転手で、同一積載物で同じ場所に繰り返し運行する場合であれば3ヶ月以内で包括的に許可を受けれることが出来るとしても、あくまでそれは片道のみ。帰りはその荷物を載せてはいけない事となっちゃいますし、出店場所が毎回変わるキッチンカーは該当しないでしょう。ちなみに、この申請は出発地を管轄する警察署に、代表者とかではなく当日運転する本人自らが申請に行く必要があるとの事です。
軽トラタイプのキッチンカーだけど、どうしても180㎝以上の高さのBOXにしたいという方はどうすればよいのか。これはこの後過積載の対策と同じく、構造変更し白(8)ナンバーで普通車登録をすることで解決できます。軽トラだと2.5mの制限ですが、普通車登録となれば3.8mまで大丈夫になるみたいです。
補足ではありますが、車検の際の構造変更届なしの場合の軽トラの高さ制限は2mだそうです。荷物の定義もそうですが、車検を管轄する陸運局独自の基準みたいですね。
グレーは合法か?
キッチンカーの道交法違反の可能性を指摘しているネット記事や動画には大抵「これまでに一度も検挙されてないんだから合法だ!」といったお叱りのコメントが送られてくるそうです。いわゆる”グレーであって黒ではない”的な。
二人乗りや、ながらスマホでの自転車運転なんかわかり易いですが、これらも道交法では完全に違反事項ではありますが、これで取り締まられましたなんてニュースを聞いたことがありません。警察に見つかって注意されるのが精々でしょう。
キッチンカーもそれと同じで、取り締まられてないのだから合法であると。
でも本当にそうなんでしょうか?
かつての消費者金融のグレーゾーン金利だって、当時は違法じゃないって言われてたのが、今じゃ普通のクレジットカードの金利ですら過払い請求対象になるぐらいに、完全にアウト判定されています。まだまだキッチンカーってのが実台数も少なく、見逃されているだけなんじゃないでしょうか。
グレー!グレー!言っている人だって分かっているはずなんです。だって本当に合法ならわざわざ違反すれすれをイメージさせる”グレー”なんて後ろめたい言葉使う訳ないですから。
白ナンバーにするメリットとデメリット
白ナンバーにするメリットと言えば、これはもう間違いなく違法車両じゃなくなって、正々堂々と道路を走れるようになることです。あと種類にもよりますが、事故った時の補償対象に車体本体だけでなく、BOX含め中の厨房機器も補償してくれる保険に入ることが出来るようになります。
デメリットは、構造変更の申請という手間が加わる事と、税金や保険料負担が少し増す事です。ただし、製作会社によっては構造変更届を代行してくれますので、そういう業者を選べば負担に成り得ません。税金に関しては確かに負担が増えますが、聞いた話では年間1万円ちょっと増えるぐらいだと。保険に関しては、キッチンカー専用の保険に入れるようになるのだから、多少保険料が上がったとしても補償対象が増えるんだからメリットと言い換えても良いんじゃないでしょうか。
これに対して、白ナンバーにしないことでのメリットとデメリットは何でしょうか?
メリットとしては税金が多少安くなる。車検費用もたぶん安くなる(ただしBOX降ろすのに費用が発生したら一転大赤字)。保険料も安いまま。
デメリットはどうでしょう。
一番のデメリットとしては、事故に有ったりした際、入れる保険では車両本体しか補償してくれない事です。キッチンカーを作るとして、ベースとなる車両を、新車の軽トラなら100万円ぐらいで、状態にもよりますが、中古なら10万円台でも購入できると思います。これに加えてBOX部の製作費などがかかり、トータルで300万とか400万円になったとしても、支払われるのは車両部のみ、それどころか違法車両を運転したからこそ事故ったのでは?と、その車両部分の補償すら下りない可能性が高い事。
もう一つ大きなデメリットがあります。例えば車が故障したとして、故障の大小を問わずに修理を断られる可能性が高くなる事。スズキ車に乗っているのに、スズキのディーラーや工場で断られる。やってくれる工場もあると思いますが、メーカー保証がないだけでなく、例えその修理で問題が発生しても、すべて自分の責任になってしまいます。「責任は取れませんがそれでも良かったら?」な世界で、正規以上の費用を請求されるかもしれません。
加えるならば、ここ近年で、4ナンバーのキッチンカーがイベント等で出店が出来ないケースが増えている事でしょうか。イベントの主催者側として、何か問題が発生した時に、それが4ナンバーキッチンカーが直接の原因でなかったとしても、違法かもしれない4ナンバーキッチンを出店させていたという管理責任を問われるぐらいなら最初から出店させなければ良いじゃないかと考えるようになったという事でしょう。もちろん出店仲介業者も同じでしょう。
まとめ
「保健所の許可は取れているから違法じゃない」と仰られる方もいるようですが、そもそも保健所が出している許可は営業許可であって、車そのものや走り方に対して許可している訳じゃないですよね。移動が出来る厨房施設として許可しているだけで、移動しながらの使用は禁止されていますし。管轄が違うんだから、そちらで許可取ってくださいってだけですよね。
正直、白ナンバーにしないデメリットが多すぎて、年数万ぐらいの負担増では比較対象にならないレベルなのに、それでもまだ4ナンバーに固執するんですか?って思います。
あるYouTuber製造業者様が仰られてましたが、グレーだ合法だを叫ぶ人達の9割9分は製造業者であると。自らは4ナンバーのままで製作することに何のメリットもないと考えているけど、なぜそこまで4ナンバーに固執するんだろうかと。
確かに製作を依頼する客側から見ても、よほどの製作費用などの安さとかが無ければ、そのキッチンカー実は違法改造車だけど良い?って言われて選択はしないんじゃないでしょうか。客側に4ナンバーのデメリットを隠し、最初の製作費の安さ?のアピールで仕事を取り、後の維持管理を理由に継続的な収入を確保しようとしているんじゃないかと邪推されてもおかしくはないですよ。
結論として、「製作業者選びも慎重にしましょう」と。
白ナンバー変更のデメリットを推す業者はちょっと怪しいと思って良いと思われます。