管理人のいたくらです。いわゆる普通の飲食店の開業マニュアルにあるコンセプト作りで自分自身の棚卸しってやつをやりましたが、自分の黒歴史を客観視させられて凹んでおります(笑)。
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7W2H
キッチンカーを含む飲食業のみならず、すべての業種で開業時に目にし、考えさせられる7W2H。WHO・WHERE・WHEN・WHOM・WHAT・WHICH・WHY+HOW・HOW MATCHの頭文字の略で、誰が・どこで・何時・誰に・何を・選び・どうやって・幾らで販売するかを明確にしなさいよってやつですね。
固定店舗はお客様を待つ必要があるので、どうしても立地が重要になってきます。自分が提供したいと考えているメニューを購入して(食べて)くれる層がどれくらい居て、また潜在的需要があって育てていけるのか。一度開いてしまうと需要の見込みを誤ってしまっていたとしても簡単に移転することも出来ません。
それに対してキッチンカーの特徴は、なんと言っても”需要に向かって移動できる”という事。そもそもそれを望んでいる購買層がいるから、需要を喚起する必要もない。たとえ見込みを誤って出店してしまったとしても、簡単に違う場所に移動できる。
もう一つが商材の切り替えが簡単にできる。多くのキッチンカーは販売窓の横に大きなタペストリーやメニューを掲示しているけど、逆にこの掲示物を取り換えるだけで、同じキッチンカーでも全く別のキッチンカーになる。同じ場所でも商材の切り替えで全く別の客層を狙える。
最近増えてきたキッチンカーイベントで、10台~15台のキッチンカーが並ぶとして、いくらクレープや唐揚げが人気だからって15台中5台のクレープ屋が出店するなんてことはありません。せいぜい2台。すると比較対象が少ないので、イベント効果と相まって、商品にこだわり感を出さなくても普通のクレープで十分売り上げが見込めるみたいです。
どこで誰に?
キッチンカーの出店場所は大きく分けて4つに分類されています。
ランチ型・イベント型・軽食型・買い取り型
ビジネス街や大学構内などでランチ向けに食事を主に販売することの多いランチ型に、音楽フェスなどの数千人規模からお花見のような小規模までのイベントに出店するイベント型。駅前やショッピングモールに多くて数台キッチンカーが出店したり、住宅街の一角に出店する軽食型。携帯ショップのオープンイベントやハウジングセンターのイベントに、50食とか100食を予め買い取り契約して出店する買い取り型。
ランチ型は他とはかぶらない、最近の流行りはチキンオーバーライスとかガパオライスのようなアジア系みたいですが、それなりに提供スピードの速さが求められるメニューが良いみたいです。
イベント型も数を熟す必要があるので提供スピードの速いもの。またファミリー層が多いイベントならクレープやたこ焼きのような子供に分かりやすいシンプルなメニューを。音楽フェスなら同じ唐揚げでも唐揚げ串だったり片手で持てるカップで提供できるメニューで、どちらもイベント効果で味にそれほど注目されなかったりするそうなので、大量生産メニューがおすすめっぽいです。
軽食型はこれまでのランチ型やイベント型と違って、人通りはあっても目的が別にある層に向けての販売が多いかも。スーパーの入り口に出店する焼き鳥や焼きたてメロンパンのようなキッチンカーは買い物客のついで買いを見込んで。駅前などでこだわりのハンドドリップコーヒーを入れるキッチンカーは、キッチンカーのコーヒーを飲むというシチュエーションそのもの、非日常性や体験が求められるので、それほど提供スピードは求められない、どちらかというと一食入魂なこだわり系メニューの方が良いんじゃないでしょうか。
先着何名様に来場者プレゼント!といったフレーズを聞いたことがあるんじゃないでしょうか。まさにこういった携帯ショップの新発売・オープニングイベントなんかで、来店されたお客様から直接売買するのではなく、ショップ(依頼主)と50食・100食とかの買い取り保証で出店し、例え20食しか提供しなかったとしても、最初に契約していた50食分の代金を受け取ることが出来るのが買い取り型です。完全に契約の数量分しか作らなくてOKなので仕込み量がはっきりしていて無駄が少ないのも特徴です。もちろん契約数を越えて直接販売してもOKな場合もありますが、これは契約次第で、依頼主の方にロイヤリティーを払ったりする必要もあるそうですよ。メニュー候補としてはファミリー層や老若男女問わず好まれる、食べながら歩けるメニューが良いんじゃないでしょうか。ただし、企業のパーティーとかの買い取り出店とかもあるので、依頼主のニーズにピンポイントで合う必要がありますね。
コンセプトというより自分の意志が
ホテルのレストランやサービスエリアの食堂なら一日で数百食の提供だって珍しくないでしょうし、1組限定とかの超高級レストランだってあります。あり得ない程の激安や量の多さを売りにするお店もあれば、変わったメニューも無ければ値段も普通、でもだからこそ日常使いに最適な小さな定食屋もあります。
イベントで大きく稼いで、その分イベントがないときは休む!ってのもいいですし、自分の大好きなこのメニューをみんな(お客様)に知っていただくのが目的だからそれほど売上にはこだわらないってのも当然ありです。食品加工会社が自分の会社の商品をもっと売る為に、自社商品を使ったメニューをキッチンカーで販売し広告宣伝にしておられるところもあります。コロナ下で自分のお店にお客様がお越し下さらないのが辛いから、自分から外に迎えに行こうとキッチンカーをやられている方も多いでしょう。いずれ固定店舗をやりたいけど、最初は資金が少ないからキッチンカーを始めるって方もいるはず。
固定店舗だってキッチンカーだって、自分が何を目的にやるのかが重要なんだと私は思います。お金儲けが目的!素敵じゃないですか!儲かるに越したことは無いですが、サービス精神旺盛すぎて儲からなくたって、やってる本人が幸せなら誰にも非難される謂れは無い筈でしょう。誰かのニーズに合わせて、結果的に儲かってしまっていいじゃないですか。
どこかにあるニーズに向かって移動できるキッチンカー
ニーズに合わせた着せ替えが簡単に出来るキッチンカー
柔軟性こそキッチンカーの特色なので、固定店舗のようにオンリーワンになる為にコアコンセプトを作り、ターゲットを絞ることがそれほど重要ではありません。出店場所選びは確かに重要ですが、固定店舗のように取り返しがつかないなんてこともありません(あっても数日のロス程度でしょう)。
つまり、キッチンカーのコンセプトとして最も必要なのは
自分がキッチンカーで遂げたいのは何なのか?
なんだと私は思いました。